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#28 冷静と情熱のあいだ

 ある友人に薦められて、「冷静と情熱のあいだ」という小説を読んだ。BlueとRossoの2冊があって、同じ時を2人の視点から書いているという、すごくおもしろい小説だった。僕は「Blue」には共感することが多かった気がする。この小説にどうしても重ね合わせてしまうところがあって、読んでいて辛くなることもあったけど、2冊とも最後まで読みきった。
 なんだろう。。。よくわからないけど、不思議な感覚になった。僕もこの小説と同じように過去を背負うことになるのだろうかと考えたりもしたし、Rossoのように今は幸せに過ごしている人のことを思ったりもした。少なくとも、僕は過去を背負うほどの気持ちになっていたんだということははっきりした。ただ実際に過去を背負うかどうかは今はわからない。
 最近、大好きな場所=空港に行くことが多い。空港に行くまでのドライブコースも結構気に入っていて、それが気分転換になったのか、意外と目の前のことに幸せを感じている。飛行機や飛行場というスケールの大きなものを間近に感じると、自分が今まで悩んでいたことがとても小さいもののように感じてしまう。大空に向かって飛び立つ飛行機を見ると、勇気が出てくるし、着陸する飛行機を見ると嬉しさと空しさがこみあげてくる。
 今は独りの時間を楽しむ余裕がある。空港に行き、何時間もボーっと飛行機を見ていろんな事を考え、桜を見て幸せを感じ、友人のライブに行って生演奏のよさを感じ。。。結局は自己満足。だからそれは独りを楽しむ余裕。
 僕のサイトのBBSに書いていた人がいる。「幸せほど主観的なものはない」と。本当にそのとおりだと思う。結局、自分自身がどうあるべきか、自分自身がなにをして、なにを考えて、何を得ようとするかという事なんだなということに改めて気づかされている。他人に何かを求め(求めすぎ)、他人に依存し、他人に考えさせ、他人から何か得ようとする気持ちが強すぎたのではないのか。でもそういう自分だったときもあったし、多分今でも根本的な部分は変わらない。ただ一時、気持ちががアンバランスだったんだろう。
 「過去に囚われすぎず、未来に夢を見過ぎない。現在は点ではなく、永遠に続いているものだと悟った。ぼくは過去を蘇らせるのではなく、未来に期待するだけではなく、現在を響かせなければならないのだ」
 小説を読んで、この言葉が一番心に残った。僕はまだそれを悟ることはできないし、それを悟るほどの年月が経ったわけでもない上に、それを悟るほどの経験もしていない。これからどうなるかなんてわからないけど、でも未来に期待しながら現在を響かせて、自分が成長できるような毎日を送ることができたら、きっといつか、「よかった」と言える日が来るのではないかと思った。