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#26 退職届

 2002年1月31日をもって、2001年4月16日から始まったプロジェクトが終了した。短い9ヶ月のような気もするが、長いような気もする。このプロジェクトは僕の生活そのものだったともいえるだけに複雑な思いもある。
 プロジェクトが終了するということで、今まで一緒に仕事をしてきた数人の方が送別会をしてくれた。みんなからはメッセージカードやプレゼントをもらい、この人たちと仕事ができて心から良かったと思えたし、送別会をやってもらえるような関係を築けた事が本当に嬉しくて、この仕事をやってよかったと思った。業務最終日には花束ももらって、ちょっと大袈裟だなぁなんて思ったけどすごく嬉しかった。
 自分の今後について、いろいろ考え自分なりに行動してみたが、結局退職届を出すことにした。退職届とはいっても形式的な意味合いが半分あるので、特にどうこうということではないが、社会保険の手続きや、保険証の返却、社員証の返却、住民税の納付方法指定など、無機質な手続きと誓約書への署名など、形式的なものとはいえ寂しくないとはいいきれない。これで自由の身となってしまうと同時に、いろんな面で守られることもなくなると思うと、本当にこれでよいのだろうかと不安に思ったりもする。まさかこのタイミングに退職届など出すなんて想像もしてなかったので、提出したあとすごく不安になった。本当に本当にこれでいいのだろうかと…。
 僕はまだ一度も正社員という立場を経験したことがない。このことがこれからの人生でマイナスになることはないのかと不安になる。もちろん正社員が全てとは思っていないし、自分がこうなりたい、こうしたいと思っていることを捨ててまで保守的になる気もない。ちょっとはお金を儲けたいとは思うけど、お金が全てじゃない。自分がやりたいことを確実にやれるのであれば、今は身分よりも経験を重視したいし、大切にしたい。
 とはいうものの、適切なタイミングで適切なポジションで経験を積む必要もあるのではないかと思う。「経験だから」といってめちゃくちゃなことをしていいわけではない。
 本当は1,2週間休んで、たくさん本を読んだり、ビデオを借りて見たり、考えたりしたいなと思っていたのだが、どうやらそういうわけにもいかないらしい。幸い、僕の事を必要としてくれる人がいてくれて、そういうのはやっぱり嬉しいし、自分のためにも、その人の為にも頑張りたいと思う。
 それから、不思議というかナイスタイミングというか、数年前にお世話になった方から「来週会おうよ。話もしたいし、紹介したい会社もある」という電話がかかってきたり、就職活動でお世話になった方ともなぜかコンタクトが復活していたり、今の僕の状況を心から心配し応援してくれる友人たちの存在に改めて気づかされたり、人間関係とか人との出会いってホント不思議でわかんないもんだよなぁと思っている。
 僕はもともと理系出身で、まだ今からならエンジニアの道を選ぶことも可能かもしれない。でも今までの自分の行動、関わった場所、読んだ本、興味あるサイトを見てみると、どうやらエンジニアの道からは程遠いらしい(笑)ある診断によると、スペシャリストではなくて、ゼネラリスト向きだそうだ。まだ今の僕にはそれが意味していることが具体的にはわからないが、とりあえず大きな視点でのマネージメント、プレゼンスキルというものを学ばなければいけないと思っている。
 人生を語れるほど生きてないけど、良いことと辛いことというのは、ある一定のサイクルがあるんじゃないかと思う。「いいこともあれば悪いこともある」と自分もよく言うし、軽く使われることが多い言葉だけど、苦労した経験は絶対に役に立つだろうし、苦労と同じだけの嬉しさや満足感や幸せがきっとあるんじゃないかなと思う。それに今の自分にできる最大限のことをやれば、必ず何かが見出されると思う。最近、レンタルビデオを借りて、ジャンルを問わず映画をたくさん観ているけど、人生観や考え方、物事の進め方というものを前とは違った感覚で感じているような気もする。「前とは違う」と書いたけど、本当に前と違うのかそれとも幅が広がったのか、何かを感じるポイントをより多く持つようになったのか…。
 「冬は必ず春となる」んだよね…。