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#19 3ヶ月

 東京に来て4ヶ月目になった。最近時間的にも体力的にも精神的にも落ち着いてきたのか、この3ヶ月間を振り返ることが多くなった。
 考えてみるととても長い3ヶ月だった。こんなにも大変な3ヶ月は今までになかったと思うほど。この3ヶ月が1年ぐらいに感じる。社会人生活の長い先輩や知人にその事を話したら、「最初の3ヶ月は、ほんとにわかんないもんだよ。それが実感できてるって事は、今後につながるってことだよ」と言われた。やっぱり何事も経験してみないとわからないんだなぁということを身をもって感じた3ヶ月だった。が、しかし、今後について疑問に思うことが最近多くなってきた。逆を言えば、今後についてちゃんと考えてるってことになるのかもしれない。学生時代から、それなりに仕事をしてきたけど、いざ本格的に仕事をはじめてみると、まだまだ自分の未熟さを感じる。半ば強引に東京に来て、何度も東京に来てよかったのか?と自問自答する日々を送って、苦しい日もあったけど、東京の生活をもう少し楽しんでみようと思えるようになったのは進歩かもしれない。
 お盆休みに会おうっていう話をするために大学の友人と電話で話すことが多い。みんなそれぞれに自分の道を進んでて、ある意味ですごくうらやましく思う時がある。入社一年目ということで、それなりに研修プログラムを受けて、徐々に仕事を任されながら、上司にちゃんとレビューしてもらえるっていう環境は、やっぱり新卒だからだろう。自分もそれがないとは言わないが、やはり自分で解決することも多く、自分で目標設定をし、自分で自分のポジションを決めていかなければならない。どちらがいいという事ではなくて、新卒という特殊なポジション(とはいっても大多数の人が経験するが)を経験出来なかったという後悔はある。友人の中には、新卒だからという理由で何の発言権もないと言っている人もいる。まだまだ日本は実力社会じゃないんだなぁと実感した瞬間だった。結局、どんな仕事をしようと、どこに住もうと、自分が何がしたくて、どういう生活をしたいのか?ということに尽きる。アルバイトや派遣という新しい働くスタイルが定着し始めたこともあって、いくらでもお金を得る方法はある。とはいっても、その中で自分で自分のポジションを決めて、自分のスタイルを貫いていくには、相当の苦労と決意と、批判に耐える覚悟が必要なんだと思う。
 東京に来てからいろんな人に相談した中で、いまだに心に残っている言葉がある。
 「いくつもの失敗の繰り返しが新しい成果を生む。この経験は自分で体験してこそ意味がある。人に聞いただけじゃ経験したことにはならないわけだし。仕事のやり方って同じ結果を出すのに、いろんな方法がある…」
 今の自分の仕事は、数字で成果がでるわけではなく、客観的にレビューできるような仕事でもない。100%の成功もありえない分、100%の失敗もない。最終的に自分の中でいかに納得して、つぎにつなげていくかという仕事。その分、今の自分を見失うことも多い。ノルマもないが、その分目標設定も難しい。そんな中で最終的な結果を出すためのアプローチ方法を早く見つけたいと思う。