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#13 SOHOについて

 最近SOHOについて疑問に思うことが多い。今やってる仕事は、ほぼSOHOに近い。出社義務はなく、定時というものも存在しない。業務指示や連絡はメールがほとんどで、メールを見ることはあたり前で、いかに効率よくメールに返信するかが仕事が出来るかどうかの判断基準になりかけている。もちろん、メールだけで仕事が進むわけではないので、ミーティングしたり電話したりしながら仕事を進めていくのは当然の事であるが・・・。
 SOHOでもWebでも同じだと思うのだが、ここ数年デジタルな事ばかり注目されているが、アナログとデジタルがちゃんと融合していかないと、めちゃくちゃな事になってしまう気がする。インターネットで買い物ができるからといって実際の店舗がなくなるわけではない。やっぱりどこかで現実社会にしっかりと足を踏み入れて生活したり仕事をしなければならないわけである。で、言いたいことは何かというと、「Eメール」を始めた頃は「これは便利だ!」と思っていたのだが、最近メールが来るとイヤになる事が多い。Eメールは、電話と違い、人のスケジュールや都合を拘束しないという利点がある反面、常にメールが届いていないかを意識している必要がでてくる。プライベートなメールならともかく、仕事のメールとなると話は別。特に、送ったメールにはすぐ返事が来るものだ!という感覚をもっている相手には神経を使う。ようするに、仕事の進度の基準が相手のペースになってしまうわけである。相手の顔が見えない、相手が今何をしているかわからないのに、Eメールを送った側は「メールしたから早く返事しろ!じゃないとこっちの仕事が進まない!」となってしまう。ということは、スケジュールを拘束されないどころか、逆に今まで以上に自分の時間を拘束されているような気がしてならない。
 特に日本は通信インフラが完璧に整備されているとは言えないので、メールを受信するだけでも苦労することが多い。電話ならたいていの場合出て話すことができるのに、メールは大変。i-modeのメールだって文字数制限があるし、分割して全てメールを送信してくれるサービスを利用したとしても、読みにくくて仕方がない。添付ファイルがある場合なんて、もうお手上げ状態!
 それに、日本ではSOHOは内職がデジタル化したようなイメージでしかないんじゃない?と思うことがある。SOHOで働きたいと思えば、自己管理がとても大変なのは当たり前で、自分の事は自分で管理して、仕事に対するジャッジも全て自分一人で行うことになる。あらゆる場面でのジャッジを自分で下していくことが必要となるわけで、よほどしっかりした独立志向がないとSOHOで成功することは難しいし、なにより日本という国の中で本当の意味でのSOHOが定着しつつあるかといえば疑問を持たざるを得ない。
 結局人と人とのコミュニケーションが大切なのに、デジタル化するにあたって、デジタル化=コミュニケーション不足となっているように感じてしまう。掲示板やチャットなど一見コミュニケーションが盛んになったようにも見えるが、自分の都合のいいようにしかコミュニケーションをとっていない人も多いように感じる。デジタル化の流れを否定するわけではなく、逆に大歓迎しているが、デジタル化するにあたって、暗黙の了解というか、お互いに共通意識をもっていないとSOHOやデジタル化は成り立っていかないのではないかと思う。